【初心者向け】はじめての坐禅|10分から始める実践ガイド

坐禅をやってみたいけど、どこから始めればいいのかわからない

そう思ってここにたどり着いた方に向けてこの記事では、2つのルートから坐禅への入り口をお伝えします。

ひとつは、家でまず試してみたい人向けの実践ガイド。もうひとつは、お寺の坐禅会に初めて参加したい人向けの当日の流れとマナー。どちらから読んでいただいても大丈夫です。

なお、「座禅」と書かれることもありますが、このサイトでは各宗派の公式表記にならって「坐禅」に統一しています。

この記事でわかること
  • 家で10分間坐るための実践ステップ(足・手・姿勢・呼吸)
  • お寺の坐禅会、当日の流れとマナー
  • 警策(きょうさく)は本当に怖いのか
  • 初心者がつまずきやすい3つのこと
目次

「初心者」には2パターンある。あなたはどちら?

坐禅に興味を持った初心者の方には、大きく2つのタイプがいらっしゃるかと思います。

タイプA:まず家でやってみたい。道具を知りたい、姿勢を知りたい、どうやるのか分からない、という人。

タイプB:お寺の坐禅会に行ってみたい。当日はどんな流れ?服装は?警策は本当に叩かれる?という人。

どちらが正解とかはありません。わたし自身は、最初がお寺での体験で、そのあと家でたまに坐るようになったパターンです。この記事では両方の方に向けてご案内しますので好きな方から読んでみてください。

【タイプA】家で10分間坐ってみる。実践ガイド

家の中で坐蒲の上で坐禅を組むイメージ

まず準備するもの

特別なものはほとんど必要ありません。最低限これだけあれば坐れます。

場所は、静かで直射日光や強風を避けられる場所ならどこでも。畳でも板張りでもカーペットでも問題ありません。妙心寺の公式サイトでも「静かな所で厳粛な雰囲気をもって坐ることが望ましい」とされていますが、「自室の一角」で十分です。

服装は、体を締め付けないゆったりしたものであれば何でもOK。スウェットやヨガウェアが向いています。靴下は脱いで、裸足で坐ります。

坐蒲(ざふ)はあると格段に楽になります。お尻の位置が少し上がることで骨盤が立ち、足への負担が減ります。なければ座布団を二つ折りにして代用することもできますが、高さや安定感は専用品にはかなわないです。わたしは仕事机の横にひとつ置いていて、それがあるだけで「坐る気になる」きっかけになっています。

坐蒲(ざふ)

わたしが使っている曹洞宗仕様の坐蒲『ツムギ』

3,960円。モスグリーンの落ち着いた色合いで、部屋に置いても浮きません。直径35cm前後の標準サイズで、結跏趺坐でも半跏趺坐でも安定します。坐禅初心者の一つ目の坐蒲としておすすめしたい一品。

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ステップ① 足を組む

坐蒲(または折りたたんだ座布団)の上に腰をおろします。おしりの中心に坐蒲が当たる位置を目安に、自分の体に合わせて調整してください。

足の組み方は3種類あります。

  • 結跏趺坐(けっかふざ):右足を左の太もも上に乗せ、次に左足を右の太もも上に乗せます。両足が交差した本格的な組み方ですが、最初はかなりきついです。
  • 半跏趺坐(はんかふざ):どちらかの足を反対の太ももの上に乗せるだけ。片足だけ組む、少し楽な形。
  • あぐら:両足を交差させるだけ。初心者にいちばんやさしく、これでも十分です

初心者はあぐらから始めても構いません。「結跏趺坐で坐れないと坐禅じゃない」ということはありません。曹洞宗の公式でも「自分の身体にあわせて自然に坐れる位置に調整してください」と記されています。

わたしは結跏趺坐(けっかふざ)にしていますが最初はかなり痛かったです。やっているうちに慣れてきます。

ステップ② 手を組む(法界定印)

手の形は「法界定印(ほっかいじょういん)」です。

右手のひらを上向きにして、組んだ足の上に置き、その上に左手のひらを重ねます両手の親指の先が軽く触れる程度にして、きれいな楕円形(卵形)をつくります。組んだ手は下腹部のあたりに自然に置きます。

力を入れすぎず、かといって崩れすぎない。親指の間に隙間ができすぎるのも、強く押し付けるのもNG。「卵を壊さず持っているくらい」という表現がよく使われます。

ステップ③ 姿勢を整える

背筋をまっすぐ伸ばします。耳と肩が垂直になるよう意識して、あごを少し引きます。頭が前後左右に傾かない位置を探してください。

目は閉じません。「半眼(はんがん)」といって、まぶたを半分ほど開いた状態が基本です。視線は斜め下45度ほど、1〜2メートル先の床(または畳)に自然に落とします。閉じると眠くなりやすく、開きすぎると気が散るので、その中間です。

姿勢が整ったら、身体を左右にゆっくり揺らして中心を確認します(これを「左右揺振(さゆうようしん)」といいます)。振り幅を徐々に小さくして、自然にまっすぐの位置で静止します。

ステップ④ 呼吸を整える(数息観)

姿勢が決まったら、まず大きく深呼吸を一息(これを「欠気一息(かんきいっそく)」といいます)。鼻から吸って口から吐きます。その後は静かに、鼻だけで呼吸します

呼吸の集中法として「数息観(すそくかん)」があります。息を吐くたびに、心の中で「ひとつ、ふたつ、みっつ……」と数え、十まで数えたらまた一に戻ります。これを繰り返します。

途中で数を忘れたり、「あれ、今いくつだっけ?」となったら、また一から。これは失敗ではなく、気が散ったことに「気づけた」こと自体が坐禅の実践です。忘れたら戻す、を繰り返すだけでいいです。

ステップ⑤ 雑念が来たら「止める」ではなく「流す」

坐っているあいだ、頭のなかはざわざわし続けます。「あの仕事の件どうしよう」「なんか足が痺れてきた」「無心になれてるのかな」。これは初心者だからではなく、坐禅に慣れた人も同じです。

目標は「思考を止める」ことではありません。思考が来たことに気づいて、また呼吸に意識を戻す。この繰り返しです。雑念を「排除しなければいけない邪魔なもの」と戦わないこと。川に葉っぱが流れていくように、眺めながら見送るイメージが近いかもしれません。

【タイプB】お寺の坐禅会へ——当日の流れとマナー

お寺の禅堂。初めての坐禅会のイメージ

初めてお寺の坐禅会に参加するとき、「何をどうすればいいかわからない」という不安は当然です。大まかな流れを知っておくだけで、かなり気持ちが楽になります。

持ち物と服装

服装は動きやすくて体を締め付けないものを。トレーニングウェアや作務衣、ゆったりしたパンツが向いています。靴下は坐禅中に脱ぐので、脱ぎやすいものにしておくと楽です。

冬のお寺は想像以上に寒いことがあります。暖房がない禅堂も多いので、上着を脱いでも暖かいよう、重ね着か薄手のストールを持っていくと安心です。

持ち物は基本的に手ぶらでOK。坐蒲はお寺で貸してもらえることがほとんどです。予約の要不要はお寺によって異なるので、事前にホームページで確認してください。

当日の大まかな流れ

お寺やプランによって内容は異なりますが、一般向けの坐禅会は概ね以下のような流れです。妙心寺の坐禅会を参考例として整理しました。

  • 受付・着替え:開始の少し前に到着して受付。必要なら着替えます
  • 案内・説明:初心者向けに足の組み方や呼吸の基本を教えてもらえます。ここで不安を解消しておきましょう
  • 坐禅:20分前後を1〜2回。間に経行(きんひん/歩く禅)が入ることもあります
  • 法話・茶礼:坐禅後にご住職の法話やお茶の時間があるお寺もあります
  • 解散

「20分も坐れるか心配」という方は多いのですが、案外あっという間に終わることも多いです。お寺の空気感、線香の香り、周囲の人と一緒に坐る静けさは、家ではなかなか作れない独特の集中感があります。

警策(きょうさく)は怖い?正直なところ

「坐禅=木の棒で叩かれる」というイメージを持っている方も多いかもしれません。

警策は、坐禅中に使われる平たい木の棒のことです。

一般向けの体験会では、ほとんどの場合「希望者のみ」です。「姿勢が崩れたら問答無用で叩かれる」わけではなく、受けたい人が坐禅中に僧侶に向けて合掌するのが合図、というお寺がほとんどです。「警策なし」を明示している体験プランも増えています。

実際に受けた人の話では「音は大きいが痛みはほぼない」「むしろ眠気が覚めてすっきりする」という感想が多いです。怖ければ受けなくていいし、気になるなら試してみてもいい、それくらいのものです。

ちなみに警策の読み方は宗派によって異なります。曹洞宗では「きょうさく」、臨済宗では「けいさく」と読みます。

坐禅体験

お寺の坐禅会を探してみる

日帰りの初心者向け坐禅体験から、一泊参籠まで。料金・所要時間・口コミを比較しながら選べます。まずどんなプランがあるか見てみるだけでも。

じゃらんで探す →

私の場合、写経会から坐禅へ

少し個人的な話をしますとわたしの場合、最初に坐禅に触れたのは写経会の中の坐禅体験でした。写経が終わったあと、ご住職から「少し坐ってみませんか」と案内をうけて、10分ほど坐る機会があったんです。

そのとき感じたのは、写経とはまた全然違う空気感でした。本堂の静けさ、線香の薄い香り、ご住職の「坐るだけでいいです」という言葉。何かを達成しなくていい時間って、こういうことか、とぼんやり思った記憶があります。足はとても痛かったですけど。

それからしばらく経って、家でも坐るようになりました。仕事机の横に坐蒲をひとつ置いただけですが、それがあるだけで「ちょっと坐ろうかな」という気になります。5分か10分仕事に疲れたとき、ひと段落がついたとき、子どもが学校に行っているあいだなどに、気が向いたときだけです。

「最初からうまくやろう」とか「毎日続けよう」とか、そういう気持ちで始めなくてよかったと思っています。写経会でたまたま坐ってみた、その小さなきっかけが今につながっています。

初心者がよくつまずく3つのこと

① 足が痛くて続かない

最初の壁は、ほぼ全員これです。慣れないうちは5分もしないうちに足が痺れてきます。

対処法は段階的にあります。まずあぐらから始める。坐蒲でお尻の位置を上げる(これだけで全然変わります)。それでも痛ければ坐禅椅子を使う。椅子坐禅は妙心寺など多くのお寺でも正式に認められており、「椅子だから坐禅じゃない」ということはありません。自分でも不思議でしたが、1回2回3回とやるうちに、結構すぐに明日の痛みには慣れてきました。(ただこれは人によるかも)

② 雑念が止まらなくて「できていない気がする」

これは止まらなくて正常です。坐禅の目標は「思考をゼロにすること」ではありません。思考が来たことに気づいて、呼吸に戻す。その繰り返しが坐禅の実践そのものです。「雑念が来た=失敗」ではなく「気づけた=坐れている」と考えてください。

③ 何分やればいいかわからない

答えは「5分でいいです」。わたし自身、家では5〜10分がほとんどです。長ければいいわけではなく、短くても続く方がずっと意味があります。まずタイマーを5分にセットして坐ってみる、それだけで十分な一歩です。

まとめ

坐禅の始め方を、家とお寺の2つのルートでまとめました。

  • 家で始めるなら:坐蒲またはあぐら座布団、動きやすい服装、静かな場所だけあればOK
  • 足は「あぐら」からで可。完璧な作法より「坐れた」が先
  • 法界定印・半眼・数息観が家坐禅の3つの柱
  • お寺の体験会は初心者歓迎が多く、警策は希望者のみがほとんど
  • 雑念は止めなくていい。気づいて戻すだけでいい
  • まず5分。続けることより「坐ってみること」が最初の一歩
坐蒲(ざふ)

わたしが使っている曹洞宗仕様の坐蒲『ツムギ』

3,960円。モスグリーンの落ち着いた色合いで、部屋に置いても浮きません。直径35cm前後の標準サイズで、結跏趺坐でも半跏趺坐でも安定します。坐禅初心者の一つ目の坐蒲としておすすめしたい一品。

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坐禅を続けていくなかで「道具をちゃんと揃えたい」「もっと本格的に姿勢を学びたい」と思ってきたら、こちらの記事も参考にしてください。

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この記事を書いた人

奈良出身・東京在住。IT企業でリモートワーク中心に働きながら、写経を5年以上続けています。写経会や宿坊の朝のお勤めで少しずつ坐禅に触れる機会があって、最近は家で気が向いたときに5〜10分だけ坐っています。「日課」と呼べるほど続けているわけではないけれど、そのくらいの距離感だからこそ書けることもあるかな、と思っています。
このサイトでは、自分が体験したこと・丁寧に調べたお寺の情報・続けるためのちょっとしたコツを、手帖を見せるように書き留めています。

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