「坐禅」と「座禅」どっちが正しい?意味と表記の違いを解説

坐禅について調べていると、「坐禅」と書いてあるサイトと「座禅」と書いてあるサイトが混在していて、「どっちが正しいの?」と気になった方は多いと思います。

わたし自身、最初に写経会のお知らせで「坐禅」という文字を見たとき、「あれ、座禅じゃないの?」と少し戸惑ったことを覚えています。普段スマホで「ざぜん」と入力したら「座禅」が先に出てきますし、そっちの表記の方が馴染みがある、という方がほとんどじゃないかと思います。

この記事では、2つの表記の違いを漢字の意味から順番に整理します。読み終わるころには、表記の謎がすっきりするはずです。

この記事でわかること
  • 「坐禅」と「座禅」、どちらが正式な表記か
  • 「坐」と「座」という漢字が持つ意味の違い
  • 「座禅」表記が広まった歴史的な経緯
  • 曹洞宗・臨済宗など各宗派の公式表記
目次

結論:どちらも間違いではない。ただ、「坐禅」が伝統的な正式表記です

先に答えを出してしまうと、「坐禅」と「座禅」はどちらも間違いとは言えません。

ただし、仏教・禅宗の世界で伝統的に使われてきた正式表記は「坐禅」のほうです。曹洞宗や臨済宗の公式サイトも、基本的には「坐禅」で統一しています。

では、なぜ「座禅」という表記が生まれ、ここまで広まったのか。その背景には、漢字そのものの意味の違いと、戦後の国語政策が関係しています。

「坐」と「座」——漢字としての意味の違い

「座」と「坐」、2つの漢字の筆文字。意味の違いが表記の違いに表れています

「座」は、場所を表す漢字

「座」という漢字は、座る「場所」を意味します。座席、座敷、銀座、星座など。「座」がつく言葉は、どれかの「場所」や「席」を指すものが多いですよね。

「座」をよく見ると、「广(まだれ)」という部首がついています。まだれは「屋根」や「家屋」を意味する部首で、「床(ゆか)」「庭(にわ)」「庫(くら)」なども同じまだれを持つ漢字です。

「坐」は、動作そのものを表す漢字

一方の「坐」は、座る「動作そのもの」を表す漢字です。「坐る」という行為に焦点を当てています。まだれがついていないため、場所の制限がなく、屋内でも屋外でも、どこでも座る、というニュアンスがあります。

禅の実践においては「どこに座るか」よりも「どのように座るか」、つまり行為そのものが重要です。その意味でも「坐禅」という表記のほうが本来の精神に合っているといわれています。

(補足)まだれとお釈迦様の話

各宗派のお寺のサイトでよく紹介されている話として、「お釈迦様は菩提樹(ぼだいじゅ)の下で坐禅をして悟りを開かれた。だから屋根のある場所を意味するまだれのつく『座』ではなく、『坐』を使う」というものがあります。

これは「坐禅」という表記の由来として伝えられている説のひとつで、曹洞宗系のお寺を中心に広く語られています。「なるほど」と感じる説明ではありますが、あくまで宗教的な由来の話として受け取るのが自然かと思います。「座る動作」を表す「坐」の字を使う、という意味の面からも、十分に理にかなっているのは確かです。

「座禅」表記が広まった理由。戦後の漢字改革

「坐」は現在、常用漢字に含まれていません。

調べてみたところ、きっかけは1946年(昭和21年)に国が告示した「当用漢字表」です。当時、日常生活の中で使う漢字の範囲を定めるため1850字の漢字表が作られましたが、「坐」はそこに含まれませんでした(一方、「座」は含まれていました)。

その後、1981年に当用漢字は「常用漢字」に引き継がれましたが、「坐」の扱いは変わらず、現在も常用漢字ではありません。

「坐」が常用漢字でない以上、学校でも習いません。新聞やメディアも常用漢字を基準にするため、「座禅」の表記が一般に広まっていきました。テレビや雑誌で「座禅」と書かれることが多いのは、こういった歴史的な経緯からです。

「坐禅」が消えたというより、「座禅」が普及した。というほうが正確な見方かもしれません。

曹洞宗・臨済宗の公式表記はどちら?

実際に各宗派の公式サイトを確認すると、曹洞宗・臨済宗ともに「坐禅」表記を使っています。曹洞宗の公式情報サイト『坐禅のすすめ』(zazen.sotozen-net.or.jp)も、サイト名に「坐禅」の字を使っています。

お寺や僧侶の立場からすると、「坐禅」が正式表記という認識で一致しているようです。最近はウェブでも、僧侶が監修した記事では「坐禅」表記が増えてきている印象があります。

坐禅手帖が「坐禅」表記を使う理由

このサイト「坐禅手帖」では、タイトルから本文まで一貫して「坐禅」の表記を使っています。

理由はシンプルで、「坐」という漢字の本来の意味と、各宗派の公式に合わせたい、ということです。それと個人的な話をすると、「坐禅」という文字の形そのものが、なんとなくこのサイトの雰囲気に合っている気がして。まだれのない「坐」の字は、少し軽やかな印象があります。

ただ、「座禅」で検索してこのサイトにたどり着いた方にも、引け目を感じてほしくはないです。「座禅」は間違いではないし、そちらに慣れている方もたくさんいると思います。(なお、「座禅」と書かれることもありますが、本来は屋根を意味するまだれのつかない「坐禅」が正しい表記とされています)

まとめ

「坐禅」と「座禅」の違いをまとめると、こうなります。

  • 「坐」は動作、「座」は場所を表す漢字。坐禅は「座る動作としての禅」
  • 「座」にはまだれ(广)があり、屋根のある場所を意味するため、屋根のない場所で坐禅をしたお釈迦様にちなみ「坐禅」が正しいとする説もある
  • 1946年の当用漢字改革で「坐」が除外されたことで、一般的に「座禅」表記が広まった
  • 曹洞宗・臨済宗など各宗派の公式は「坐禅」表記を使用
  • どちらも間違いではないが、伝統的・宗教的には「坐禅」が正式

「座禅」で検索しても大丈夫です。どちらの表記でたどり着いていただいても、このサイトでは坐禅の入口になれたらと思っています。

もし「坐禅って、そもそもどんなものか知りたい」という方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

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この記事を書いた人

奈良出身・東京在住。IT企業でリモートワーク中心に働きながら、写経を5年以上続けています。写経会や宿坊の朝のお勤めで少しずつ坐禅に触れる機会があって、最近は家で気が向いたときに5〜10分だけ坐っています。「日課」と呼べるほど続けているわけではないけれど、そのくらいの距離感だからこそ書けることもあるかな、と思っています。
このサイトでは、自分が体験したこと・丁寧に調べたお寺の情報・続けるためのちょっとしたコツを、手帖を見せるように書き留めています。

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